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6月の雨って急だな…オイ…
傘持ってねぇよ…
急に降り出した雨に呆然としていると、
「浅水颯希くん?」
……え?駿河!?
「ね、あたしとつきあって」
それ、まだ言うんだ…
嬉しいけどさ、駿河、俺のことなんとも思ってないし。
「浅水颯希くん?」
「…名前でいいから、フルネームはやめろ」
とりあえず、なんかフルネーム嫌。
おもっきし他人って感じだし。
イヤ、他人なんだけどさ…
すると、彼女は少し首を傾げて、
「颯希くん?」
なんて言うから、心臓鷲掴み!?
ねぇ、俺、大丈夫!?
冷静にならねば!
「…あんた、素の方が可愛いと思うけど?」
何言ってんだ俺?わけわかんねぇ!
とにかく、この目の前にいる可愛い人、誰かどうにかして!
「ん?ちょっと待って?あたしのこと、知らないのよね?」
あ~、誰?って聞いたからか。
「思いだしただけ。君さ、なんて名前?」
知ってるけど、敢えて聞く。
「蓮華、駿河蓮華」
あ、ちょっと怒ってる?
「蓮華?ふ~ん」
怒ってるのはわかってるけど、名前に対して何も言わない。
だって、なんか楽しいし。
「クラスと違うけどさ、大人しいの似合わないよな」
「いいじゃん!大人しくしてたって!中学の二のま…」
「中学?」
「なんでもない!あたし、颯希くんのこと諦めてないから!」
叫んで駿河は雨の中飛び出して行った。
出てくるとは思わなかった、『中学』という単語に俺は眉を寄せた。
中学の時、何かあったんだろうか?
仲がいいわけじゃない俺に、昔あったことなんか話してくれないよな…
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