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旧自習室への階段はそこからすぐ近くにあった。窓から淡い光を受けて、無数の埃が宙を舞っているのが見える。木製の階段は踏むと軋む音を立て、そこにいるだけで一昔前の時代に来たような錯覚を起こしそうになった。
二階の自習室は広々とした部屋だった。四人掛けの机が縦に三つずつ二列並び、周りの本棚にはやけに厚い本が詰め込まれている。どれも日焼けしていて背表紙はほとんど無地に見えた。一番奥の机に一人だけ席に着いている人がおり、まるであつらえたようにこの部屋に馴染んでいる。
ここは外の空間とは別世界のようだった。奇妙な具合に閉ざされた中で、紙の擦れ合う音と僕の足音だけが響いていた。
僕は一番奥にある机に落ち着いた。パイプ椅子を引き摺ってけたたましい音を立てても、隣の机にいる先客は僕には一瞥もくれずに机にかじりついていた。
僕は持参した手提げ鞄を机の上に置き、問題集を取り出した。
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