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翌年度から、僕の学年は受験の準備が始まった。いくら多少の素質がある人間を集めても、磨かなければ意味がない。教師たちは生徒を急かし、受験に備えさせた。そのおかげでそれまで脳天気に遊び呆けていた者も奮い立つように勉強を始め、その成績は以前とは比較にならないほど伸びていった。
ただ、僕だけが違っていた。周りと一緒に必死になろうと思うことこそしたものの、結局何も変わらなかった。そのおかげである程度差が縮みはしたが、それでも試験の成績は維持し続けていた。
僕は他人の目標だった。僕に近づくことができれば、受験合格は確実になると言われている。確かに僕の学力は学区でも最高水準のため、そう言われるのも無理はない。
そしてそれを信じた生徒たちは揃って僕に近づいてきた。
「いつもどんな勉強してるの?」
「今度一緒に勉強しない?」
正直なところ、僕にはこれらが煩わしくて仕方がなかった。僕は勉強などしていない。お前たちに教えられることなど何もないのだ。人に何か訊かれる度に僕はそう叫びたくなった。
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