一点の黒

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「馴れ馴れしく呼ばないでくれる? 寝るの気にもしないって?流石男に媚びるしか脳の無い幸希ちゃん」 取り巻きを従えた女王は、かつて私の親友だったソレ。 裏切られたなんて思わない。 人は結局、獣だから。 獣に絆何て無い。 私は手渡されたメモに書かれたホテルの一室に足を踏み入れた。 「やぁ幸希ちゃん」 にたにたと気持ち悪く笑う腹の出た油で怪しく肌が光る中年の男。 「梓ちゃんの代わりだろ? 写メで見た通り可愛いね…」 息遣いが聞こえる。 ハァハァハァハァハァ―…‥ 私の頭は妙に冷めていた。 男の首の手を回して、じっくり男の顔を見詰める。 テカった鼻を甘噛みし、ゆっくり丁寧に舐める。 「シよ?」 ふふふ…。 やっぱり馬鹿だね男って。 私は男の腹の上で踊る。 淫らに煽るように…。 「んっ……はぁはぁ…」 乱れた息は私のモノ。 乱れさせたのはダレ…? 私。 だってこれは演技だから。 嬉しそうに腰を振る男。 酷く滑稽だった。 まるて壊れた玩具みたいに。 ただ腰を振るしか知らない男。 自然と笑っていた。 嗚呼、まだ私は笑えたんだね。 「ねぇ五千円あげるからおしっこ飲ませてよ」 「……ベッドの上で口開けて待ってて」  
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