プロローグ

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おかしな時代になった。 私もその時代の波をなんとか手繰り寄せようとしている。 少し前には簡単に手に入らなかったモノまで、ネットを駆使しつくせば手に入れられる。 その日の未明。 マンションから近い公園を私は待ち合わせ場所にした。 この時間だと人通りは少ない。 怪しまれる可能性はあるけれども、少なくとも私の住居が近い事から誤魔化しは効く。 早過ぎず遅過ぎず公園に行くと、その場におおよそ似つかわしくない紺色のスウェットを着た肥満体の男が立っていた。 ぼさぼさの髪は顎髭と繋がっているが決して貫禄はない。 男は値踏みするかのように絡みつくような視線を私に這わせた。
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