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「なぁ、行かしてくれないか。この岩ももう崩れる寸前。少しの間俺の舞台を見ていてくれ。ショウ」
……わずかな沈黙の後、黒コートの男は無言のまま頷き、そして自分の持っていた拳銃を差し出した。これが合図だったかのように、赤ジャケットの男は力強く拳銃を受け取ると同時に、間髪入れずに舞台へと駆け出した。
鳴り響く銃声が、一瞬全て止んだように思える。静寂の中、男は身体を右に左に、銃弾を避けながら、構えた機関銃と拳銃の引き金を引き続けた。視界に押し寄せる幾千の銃弾と緑の戦闘機。男は叫びながら、前に、ただひたすらに前に駆け抜けていく。
「っくッ――弾切れか」
視線が手元に落ちる、その瞬間だった。ほんの一瞬のことだ。
「ダイ危ないッ――」
一発の銃声がこの空に響いた。この一発の鉛の凶弾は、男の胸部の奥深くに突き刺さった。前のめりに倒れこむ男、鳴り止まない銃声。時はまた動き出す。僅か数秒で、数え切れないほどの銃弾が男に打ち込まれた。
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