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紅い薔薇を受け取れば、満足そうに目を細めた母。
母さんがいる。
つまり、此処は天国か…。
渡された華は、天国への鍵。
『………戻りたいのでしょ?』
母さんは、宝物のように大切に俺の頭を撫でた。
その手は、温かくて懐かしい。
『うん。戻りたい』
そう、答えると母の指は名残惜しそうに俺の髪を絡め離れていく。
『そう……。またね』
切なそうな瞳をした母が、光に包まれ消えていく。
『またね―…母さん』
別れの言葉を呟けば、消えていく華達。
世界は――…
光に包まれて、どこへ連れて行ってくれるの…?
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