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以前…赤西が言っていた。
カメは、アノ症状が出た後は意識を失うと…。
つまり、俺が刺された後から《カメが目覚めないでいる》という事か…。
『アレから、どれ位たったの?』
『……一週間。』
赤西に、小さな声で呟かれた。
『一週間も、俺も眠っていたのか…。』
独り言。
正確に言えば、生死をさ迷っていたのだろう。
誰も言葉を発しない。
沈黙だけが、病室を支配していく。
『今、カメはどこにいる?』
何か、今日の俺は質問ばかりしている。
時は止まってくれない。
どんなに俺の思考回路が止まっていても、待ってはくれないのだ。
だからこそ、ロスした分の情報が欲しくなる。
この質問には、雄一が答えてくれた。
『この病院にいるよ。
あっ!ここは、俺が前に勤めていた病院ね。』
前に勤めていた…大学病院か。
大学病院…医学の研究を行える施設が設けられている。
だんだん、頭が冴えてきたよ。
主治医のいる精神病院ではなく、カメがここにいる理由…精密検査って所かな。
『大体…分かったよ。』
『じゃぁ、カメの所へ行くか~』
『カメちゃん、起きると良いね☆』
『起きてもらわねぇと困る!』
『車椅子持ってくるから、動いちゃダメだからな』
得た情報を整理して、理解した合図を送れば、待っていたかのように飛び交う言葉。
さぁ――…
【天使の夢】を終わり…。
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