夢の終わり

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雄一に押されながら車椅子で、カメの病室を訪れた。 カメは、本当に眠っているだけで安やらな寝顔。 『カメ……たっちゃん来たよ』 赤西は、俺達には見せた事のないような優しい笑顔をカメに向ける。 その笑顔は、赤西にとってカメが愛しい人の証。 『…………カメ。』 名を呼べば、微かに動く細い指先。 『起きてよ…もう終わりにしよう…』 願いは誰が叶えてくれるの? 神様? 天使? 『…………ぅん……』 開く目に、うっすらと写り込む俺の姿。 いや―… 自分自身で叶えるものだ。 祈りは、心の中に秘めるもの。
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