768人が本棚に入れています
本棚に追加
雄一に押されながら車椅子で、カメの病室を訪れた。
カメは、本当に眠っているだけで安やらな寝顔。
『カメ……たっちゃん来たよ』
赤西は、俺達には見せた事のないような優しい笑顔をカメに向ける。
その笑顔は、赤西にとってカメが愛しい人の証。
『…………カメ。』
名を呼べば、微かに動く細い指先。
『起きてよ…もう終わりにしよう…』
願いは誰が叶えてくれるの?
神様?
天使?
『…………ぅん……』
開く目に、うっすらと写り込む俺の姿。
いや―…
自分自身で叶えるものだ。
祈りは、心の中に秘めるもの。
最初のコメントを投稿しよう!