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数週間後――…
俺とカメは、無事退院した。
あの日から、カメの口から【天使】の名を聞く事は無くなった。
情緒不安定だった心も、今では、すっかり元気で可愛い笑顔を振りまいている。
本当に―…
天使の夢から覚めたのだ。
―――――――――…
『はい♪サラダだよ☆』
『サンキュー、田口☆
それにしても、赤西が居なかったら…大事になっていたよな~。』
マスターの田口が、出してくれたサラダをつまみながら、雄一は呟いた。
シャリッと、レタスの良い音が隣から聞こえる。
そう…赤西のおかげでカメの事件は警察沙汰にならなかった。
何故ならば、赤西は―…
『だろ?そりゃぁ、俺は、【名探偵】ですから♪警察にも、顔が利く訳ですよ』
世の中の難事件を次々と解決している名探偵。
正直…認めたくないけどね…。
自慢気に話す赤西の隣にいるカメと目が合った。
何故か、クスクスッと笑い合う俺とカメ。
『おいっ!何で、上田とカメは笑ってるんだよ?』
不思議そうにカメの肩越しから覗く聖。
俺とカメは、声を合わせ
「『秘密♪』」
と言い、また笑い合った。
カメは、俺との約束を守っている。
だから、俺達の間に「ごめんなさい」の言葉なんてない。
必要ないのだ。
カメと雄一の関係は、と言うと………
『カメも食べる?』
『中丸、優しい~☆』
カメの小皿に、サラダをよそる雄一の姿は、弟思いの兄のよう。
深い深い溝は、時間と仲間の力により消えてしまった。
本当に、良かった。
たがら―――…
俺達、六人は…相変わらず田口の店に入り浸りの日々を過ごしている。
それが――…仲間だから。
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