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『……天使は、俺のモノ』
それは、低くて小さな声であった。
中丸は、俺を自分の方に引き寄せて、そいつを警戒している。
そいつは、相変わらず冷たい瞳を俺だけに向けている。
隣にいる中丸なんて眼中にないようだ。
中丸が、俺の耳元で話してきた。
『……誰なの?』
『知らない。
なんか…俺の事を[天使]と間違えてる』
中丸は、[天使]と言う言葉に反応したらしく俺の顔を覗きこみ、満足そうに笑っいやがった。
しかも、大きく頷いている。
なんか…照れるし。
『なに、頷いているんだよ』
照れを隠す為に、俺は中丸の腹を殴ってやった。
『痛っ!
たっちゃん、天使は殴らないよ~』
中丸は、殴られた腹をさすりながら呟いた。
『うっ、うるさいっ』
あぁ~!
さっきまでの重たい雰囲気がなくなったよ。
でも、そいつは、まだ俺を見ている。
何て、言ってこの場を逃げようかな。
此処は精神病院だから、こいつ…精神障害者かな。
俺の事を[天使]って言うのは、妄想からだろう。
そう考えると、さっきまで深く考えていた事がバカバカしい
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