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バタンッ
またしても、ドアが勢いよく開いた。
それと同時に、一人の男が俺ら3人の事を凝視していた。
『カメッ!』
その男は、そう叫ぶと俺らの方に駆け寄ってきた。
[カメ]って、こいつの名前かな。
『赤西~、天使がいるよ』
そんでもって、今現れたのが[赤西]か。
カメは、無邪気に笑い赤西に向けて手招きをしている。
赤西は、[天使]という言葉に一瞬、顔を曇らせた気がする。
何ていうか…淋しさ、不安、虚しさ…重たい気持ちが写り込んでいるようだった。
でも、すぐカメに笑顔を向けている。
赤西は、カメの横に並んだ。
男の俺から見ても、赤西はカッコイイ奴だった。
男前っていうのかな。
カメは、急に俺の腕を引っ張り、自分の方に引き寄せようとしている。
思ったより強くて、俺はいとも簡単にカメの腕の中に納まってしまった。
ん~…抱きしめられている訳ですよ。
中丸も赤西も、目をぱちぱち。
予想外な展開に、身動きしていない。
カメが、俺の耳元に口を寄せてきた。
少し息がかかって、身体が思わずビクッと反応した。
『ァッ…』
それを見たのか、カメは妖しくクスクスと笑っている。
腕の力が、強くなった。
カメは、さらに耳元に寄せて、甘く甘く囁いた。
『……もう…逃げないでよ』
全身に、刺激が走る。
鼓動が速くなっていく。
怖い怖い怖い怖い怖い!!!
そっか…きっと
俺 は
今 悪 魔 に
抱 き し め ら れ て い る。
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