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華宮明奈、がり勉臭さの無い秀才。女神。大和撫子。聖女。
その名は全て彼女の自尊心によって作られた仮面への名だ。
「ほーっほほほ!誉めろ褒めろ凡人どもめっ」
「へぇ、凄いなぁ」
「そう!褒め称えなさ…い…」
自分以外の声の存在に明奈は声をすぼめる。この時間帯にこの空き地の前を通る人間がいるはずがない。
声のした方、粗大ゴミの山の裏に回る。
「…聞いてた?」
「ばっちりと」
そこにいたのは赤い屋根の犬小屋の中で脚をおって腹這いになり、両手で顔を支える男だった。態勢だけなら夢物語を語る少女のようだが下半身を犬小屋に入れた男では収まりが悪い。
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