序章なんて私には必要ないのよ!

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私は優秀でそこいらの人間とは違う。 そう自覚してはいたが、モーツァルトのように何もしなくても天才とはいかなかった。奴は神から与えられた才能で生きていたのだから、まったく楽な物だ。 …モーツァルトの才能をここまで妬ましく思う人間はそうはいないだろう。 勉強もトレーニングもやった。勉強時間一日5時間は固いし、勉強だけのガリ勉になる訳にはいかないから早朝のランニングと学期ごとの体育に合わせた特訓も欠かさない。 幸い、外見は父母共に出来た顔だったために私も顔は良かった。外見が良いに越したことは無い。 この顔で愛想を振りまけば心を開かない者はいない。 そうして“完璧な私”は出来上がった。  
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