全ては愛する君のために・満員電車のメリット

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 どうしても笑いが我慢できない。いけないと思いながらもくすくす笑ってしまうオレを、隣に立つ直江がちらりと睨む。 「もういい加減にしてくれませんか。さっきからずっとですよ。来る時にもう充分笑ったでしょう?これで四度目ですよ、あなたがそうやって笑うのは」  顔をしかめての言葉はちょっと拗ねたような色合いを滲ませていて、オレはごめんと謝ってまだこみあげてくるおかしさを抑え込んだ。ちょうど待っていた電車がホームに滑り込んできて、タイミングのよさに感謝しながらオレは直江の手を引いた。 「ほら直江、来たぜ。行こう!」
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