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俺は思考が停止しそうな脳で学校へ向かう。
結局、眠れなかった。
なんとか教室に辿り着くと俺の席に座っている紗季が目に入る。
俺は不思議に思ったが、それよりも小説のことを伝えないいけないという思いが強かった。
「紗季、あのな……」
紗季は俺の話を遮り、幼い笑顔で「やっぱり小説は書かないでいいよ」と言う。
俺は驚いた顔で紗季の目を見る。
紗季はすぐに顔隠して教室から出ていった。
何が起こったのかわからない。
ただ、あの笑顔は悲しそうだった。
朝の挨拶に紗季の姿はなかった。
俺は心配でしょうがなくなり、1時間目が終わるとすぐに保健室に向う。
保健室には誰もいない。
俺はベッドのカーテンを開ける。
そこには一つだけ膨れているベッドがみえた。
小さな声で話かける。
「紗季、体調わるいのか?」
返事がない。
眠っているのかと思い、ベッドのカーテンを閉めて帰ろうとする。
その時だった。
紗季がカーテン越しに話し掛けてくる。
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