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「待ってよ……」
紗季の声が震えているのに気づいたが、気づかないふりをする
「なんだ起きてたのかよ。調子わるいのか?」
「ううん、大丈夫だよ。
大地、私のことどう思ってる?」
俺は紗季の言葉に驚く。
「どう思ってるの?」
紗季がもう一度聞く。
本音は好きだと言いたい。
でも「かなり仲がいい幼なじみ」と答えてしまう。
「そう、そうだよね」
カーテンで紗季の姿は見えない。
しかし、泣いているのはわかった。
「紗季、あの……」とカーテンを開ける。
その瞬間、紗季は逃げるようにして保健室から出て行く。
午後の授業が始まっても紗季の姿はなかった。
先生に紗季の事を尋ねた。
次の瞬間、先生の言葉に頭が真っ白になる。
俺は授業を抜け出して紗季の家に向かう。
息をするのも忘れてしまいそうなぐらいに走っていた。
その中で何度も先生の言葉が頭の中をよぎる。
「紗季さんなら明日の引っ越しの為に帰ったわよ。大地くんが知らないなんておかしいわね」
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