45人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
俺は息を整える前に家のチャイムを鳴らした。
すると、紗季のお母さんが出てきた。
「あら大地くん、久しぶりねぇ。そんなに慌ててどうしたの?」
俺は挨拶もせずに、すぐに紗季を呼んでもらった。
少し経ってドアが開く。
しかし、出て来たのはお母さんだった。
「ごめんね、大地くん。紗季、今日は大地くんに会いたくないって言ってて。
別れるのがつらいのかもしれないわね」
俺は肩の力が一気に抜けた感じで何故かホッとしていた。
今、紗季に会っても何を言っていいのかわからないし、まともに話せる自信もなかった。
「わかりました」と答えて、最後にあることを紗季に伝えて欲しいと言う。
「すみませんが、紗季に小説を見てって言ってくれますか?」
紗季のお母さんは不思議そうな顔で「小説?それを伝えればいいのね?」と言う。
僕は返事をして紗季の家を出る。
最初のコメントを投稿しよう!