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「まさか本当に居るとは…」
内心、ワクワクしながら一心不乱に煙の方へと向う。
ガサッ!
「え?」
御手洗は足を止める。物音が聞えたからでは無い。背後に気配を感じたからである。
「誰じゃ?」
振り向けない。いや、動けない御手洗。動けば殺されるかも知れない程の冷たいものを背中に感じたから。
“声からして男。しかも老人ですね。では、この人が!?”
「誰じゃ?」
再度、聞き直して来る後ろの老人。
「失礼しました。私の名前は御手洗シュウヘイと言います。考古学者をしております。」
「その学者が何の用じゃ?」
「人を探してまして。」
「こんな山奥でか?それもスーツと革靴で山道を歩くなんか普通の人間ならしないぞ?お主…」
「はい?」
「馬鹿じゃな。」
「…ハハハ。良く言われます。」
「が、タダ者では無いのぉ。何か格闘技でもやっておるのか?」
「えぇ…空手を少々。」
「…後は喧嘩で鍛えたか。学者のくせに。」
“後ろ姿を見ただけで…鋭い洞察力ですね。話、聞いてくれますかね?”
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