己が為に狂い咲け～前編～

始まりの二人

“ここは…引き下がってはいけませんね”

「ご老人…何故“無い”と言い切れるのですか？」

「…それを何処で見付けた？」

「○○県□山の山中に、太古の遺跡があります。まぁ、あまり知られてませんが。そこには、人が何かしらの儀式を行なった跡形がありましたが、出土品も無く、歴史的にはあまり価値の無い物としてちゃんとした調査はされませんでした。ですが、私はその遺跡に何か不自然さを感じまして。何て言うか…こう…何かを隠したい…いや、封じ込めたいと言うか…とにかく、見えてる物が全てではない気がしたんですよ。そこで、借金をして機材を買い、私一人で更に調査を行いました！そうしたら！出て来たんですよ！この本が！いや～、感激しました！それを公表しようと思ったのですが、書かれている内容が…私の興味を更に掻き立てました！だから、公表せず、私一人で調査している訳です。」

「…ふむ。良く喋る男じゃな。見付けた場所だけ聞いたんじゃが…」

老人の一言で、ふっと我に返る御手洗。