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「あぁ!…すみません…つい…」
「しかし…やはりそれは偽物じゃな。そこには、先祖なんかおらんからな。」
「それは、貴方が知らないだけですよ、ご老人。」
「なんじゃと?」
「この本にはこう書いてありました。一族は二つに分かれたと。一つは、貴方の様に人に紛れて暮らしたが、それも出来なくなって人目を避けて暮らした者。そしてもう一つは、やはり戦いが忘れられず、戦場を求めた者。」
「…」
「この本は、後者の先祖が書き残した物でしょう。何の為に残したのかは最後まで書いてませんでしたが。だから、貴方が知らないのも無理はありません。」
「そうか…やはりな…」
「あれ?知っていたのですか?」
「いや…だが、そんな気がしておったよ。もしかしたら…とな。」
「では、信じて貰えますか?私の話。」
「そこには本の他には何も無かったのか?」
「…いいえ。」
「何が有った?」
「それは、貴方の名前を聞いてからです。」
“これだけ手の内をみせたんです。これで人違いなら…どうしましょう…”
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