13人が本棚に入れています
本棚に追加
「昨日の……見た?」
「うん。凄い感動したよね!」
教室でいつものような雑談が始まった。机に突っ伏していると、視覚を使ってない分、聞くことに集中できる。元々地獄耳だから、小さい声でも拾い上げる。
休み時間、クラスメイトの雑談を聞くのが、僕の趣味だ。
……そこ、暗いとか言わない!
確かに、目の前はいつも真っ暗だけど。
これが結構楽しいもんで、いろんな人の話を聞いているとさまざまなことが分かる。
イジメっ子の三流の声明の話も、このクラスでの雑談から得た情報だ。
この一ヶ月で、かなりの情報を手に入れた。テストの点数、新カップル、話題の芸能人……etc.
さらに最近は個人の好みも分かるようになってきた。僕の生活には役に立たないけど。
「なお君、理科のプリント見せてー!」
「いいよ」
「ありがとっ!やっぱりなお君は頼りになるよ」
うちのクラス名物のバカップルは今日も仲がいいみたいだ。余計な会話をしなきゃいいけど。
「いつもごめんね~」
「気にしなくていいよ。百合佳が笑ってくれるならどんなことも苦に思わない」
「ありがとっ!なお君大好きっ!」
「俺もだ、百合佳」
あ~、コントは家でやってほしいな。周りの人達が呆れているのが見なくてもわかる。
その後、チャイムが鳴るまでコントは続いた。
最初のコメントを投稿しよう!