二学期

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「あの、一緒に……帰ってくれませんか?」   一分はもじもじしたり深呼吸を繰り返したりして、ようやく編山は言葉を吐き出した。   「別に構わないけど……」 「ほ、ほんとですか!?」   特に断る事でもないから了承すると、編山はしおれた花が再び芽吹くように笑顔になり、「よかった」と安堵する。   ただ一緒に帰るだけで、なんでそんなに喜ぶのかわからない。 ただ、本人の前で首を傾げるのはさすがに失礼だから無表情で鞄を担ぐ事にした。     と、背中に鞄以外の荷物が乗って来た。     「…………おい」 「何?」   今朝と同じ感覚におおよその予感はできたが、やっぱり当たっていた。   「降りろ、アキト」 「え~?」   え~、じゃねえよ。 しがみついてきていた両手を引き剥がして叩き落とそうとするが、今朝のようにはいかずにアキトはしっかりと両足で着地する。 沫よりも頭一つは小さい、下手をすれば編山よりも小さい容姿に燻った銀色の短髪。 それだけでアキトだと認識できるんだから、それほど俺はアキトと暮らして来た事が改めて実感できて溜め息までつきたくなる。   編山が見ている手前では、やりたくてもやらないが。
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