二学期

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「うぃーっす。コウちゃーん、行くぞ~」 「だからその呼び方はやめろって言ってるだろうが」    丁度良く朝食を食べて着替えを済ませた所に、真治がいつものように遠慮などかけらも無く扉を開けて来た。    何回言っても直さないあだ名と、ノックをしないで入るのには、もう半場諦めているが一応反応しておく。   「まあまあ、それより、アキト君は?」   「歯磨きしてる。すぐ来るだろ」    必要な物を鞄に入れつつ答え、机の上を一応整理しておいた。    その中で、いつの間にか二つある写真立てが一つ寝ていたから元に戻しておく。      そこに写っているのは、幼かった頃の自分と冬木の姿だった。      あの時、唯一二人が写されている写真だという事で、母さんからもらった一枚だ。    それをしばらく見てから、ふと隣りの写真も見る。      そこに並んでいるのは、俺とアキト、真治に母さんの四人だ。    俺と冬木が立っていた所と同じ玄関前で撮った一枚。      すっかり変わった自分と、変わらない記憶。    一枚目の冬木の笑顔に、まだ胸が少し痛むが俺は軽く笑みを浮かべ、     「じゃあ、行ってくるよ。冬木」      一言、そう呟いて玄関を出て行った。
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