二学期

5/11
前へ
/47ページ
次へ
 始業式はつつがなく終了し、沫達は教室で学校祭についての話を、副担任から聞いていた。   「今年の学校祭まであと約一か月だ。前回はあんな騒動があったが、向こうもそれで見解を改めてな。今度は大丈夫だそうだ」    何が大丈夫なんだか……。    沫は今年に赴任して来ていたはずの新任教師である副担任を見て、心中で溜め息を漏らす。    そんな奴が去年の事を知っているはずがなく、担任からの噂話で知っただけだろう。    だからこそ、おそらく決定的に抜け落ちている事が一つある。   「おい、去年みたいな事はしないだろうな?」 「やっだな~、する訳ないじゃん? たぶん」      抜け落ちている要因の筆頭である真治に釘を刺そうと思ったが、まるで効果がない。    まあ、分かってはいた事だが……、嫌な予感がする。    嫌な予感っていうものはたいがい杞憂で終わるというが、今回はどうしてもそれで終わるとは思えなかった。      模擬店を中断せざるを得なくなったのは、ある意味こちらのせいでもあるからだ。    
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

275人が本棚に入れています
本棚に追加