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始業式はつつがなく終了し、沫達は教室で学校祭についての話を、副担任から聞いていた。
「今年の学校祭まであと約一か月だ。前回はあんな騒動があったが、向こうもそれで見解を改めてな。今度は大丈夫だそうだ」
何が大丈夫なんだか……。
沫は今年に赴任して来ていたはずの新任教師である副担任を見て、心中で溜め息を漏らす。
そんな奴が去年の事を知っているはずがなく、担任からの噂話で知っただけだろう。
だからこそ、おそらく決定的に抜け落ちている事が一つある。
「おい、去年みたいな事はしないだろうな?」
「やっだな~、する訳ないじゃん? たぶん」
抜け落ちている要因の筆頭である真治に釘を刺そうと思ったが、まるで効果がない。
まあ、分かってはいた事だが……、嫌な予感がする。
嫌な予感っていうものはたいがい杞憂で終わるというが、今回はどうしてもそれで終わるとは思えなかった。
模擬店を中断せざるを得なくなったのは、ある意味こちらのせいでもあるからだ。
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