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「さて、と……」
鞄に入れる物は入れて、アキトの姿を探そうと顔を上げた。
すると、机を一つ挟んだ距離で立ったままおろおろしている女子が目に入る。
「どうしたんだ? 編山」
「えぅ!? いや、えっと……」
聞いただけで編山はわたわたする体を更に慌てさせて、視線を定めずに右往左往させていた。
編山智羽
出席番号は一番、短く切り揃えられた生まれつきの茶色がかった髪に大きなどんぐり眼。
身長は平均よりやや低いくらいで、制服を着ていなかったら中学生に見られ兼ねない。
慌てているその姿を見ていると、まるでリスを連想させられた。
「なにか用事なのか?」
「い、いえ。いいいえ……」
「とりあえず落ち着け」
顔を赤くして慌てまくる編山に思わず苦笑してしまう。
特徴の一つ、と見ていいのか分からないが、編山は極度に内気で恥ずかしがり屋な所がある。
誰かから話しかけられるとびっくりして、話す言葉は舌足らずで、恥ずかしくなると両手の指をいじる癖があった。
ちなみになんで知ってるのかと言うと、俺が話しかけると絶対その癖をするからだ。
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