会うは好きの初めなり

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 数日後……  「どうなってるんでしょうね?」  「さあ」  彼ら二人の視線は、竜に注がれていた。  しかし、逆に竜に注がれている視線は二本どころではない。  「なあ!不良を十人も薙ぎ倒したって本当!?」  「おれは不良の手からナイフをはたき落としてそれを首もとに押し付けてビビらせたって聞いたぜ!?」  竜の元へは、今日の朝からひっきりなしにこんな連中がやって来ていた。  殆んどが一度も竜に会ったことが無い者ばかりだった。  「そんなことしたの?」  「出来るわけもないですよ」  「それもそうよね」  いつもの会話もこんな調子でやはり竜の話になっている。  教師でさえもこの噂を耳にして信じきっているようだ。  何故なら今日の朝には……。  「皆も若いのは分かるが、危ない真似はしないように。特に森岡な」  などと担任の教師でさえもこんな事を言い出す始末だ。  「まあ、いいじゃねえか。人気者になってまんざらじゃなさそうだし」  確かに宏の言う通り、彼はその噂を否定しながらも、決して迷惑とは思ってないようだ。  「それに半田の入部も決まったし、これでわが部は安泰」  「安泰って?」  葵が宏の独り言を鋭く掘り下げる。  「うちの部員は四人、部活動維持最低ラインは五人。そういうことだ」  「まさか……だから頑張ってたの!?」  「当たり前だ。竜のことなんかしったこっちゃない」  「はあ……最低な奴ね」  竜の恋の行方も、半田の抱える問題も、解決するのはいつの日か。  それはまた別のお話である。
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