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【出会い】
「にゃ~あん。」
春の初め…。
冷たい雨がシトシト‥‥‥夜道を子猫が一匹、とぼとぼ…ピチャン。
「何してるの?」
声がした方に振り返ると、小さな犬小屋から門の鉄格子ごしに見ているのは真っ白なマルチーズだった。
「別に何も…。」
「びしょびしょよ。おうちへ帰らないの?」
「家なんて…。」
うつむく子猫に、
「あら? ココへ来る? 私も今日来たばかりよ。」
と、ニッコリ。
きゃん!! きゃん!!
突然、子犬は特有のかん高い鳴き声で騒いだ。
「どうしたの? 急に…。」
「トモちゃんを呼んだの、私の飼い主よ。」
家の電気が付いた途端、男の子の声がした。
『お母さん、ニイニが鳴いてるよ。』
子猫が耳をくるっと回す。
「ニイニ?」
「あ、私の名前。ママから離れて悲しくて泣いてたら…。」
ニイニはクスッと笑った。
「ママか…。」
子猫はうなだれた。
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