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「うぎゃっ!! むぎゃっ!!」
『コラ! おとなしくしろよ!』
部屋の中…。
先に洗われてバスタオルをかぶったまま、ジュータンでくつろいでいるニイニ。風呂場から聞こえる声に笑いをこらえていた。
しばらくして、子猫をタオルでこしこし拭き少年はニイニの前に子猫を置いた。子猫は自分の体をぺろぺろ…。
『さっきは汚れてたからわかんなかったけど…こいつ、変わった毛の色のシャムだなぁ。全身真っ黒でシッポだけ白なんて。』
そう言うと、黒猫とニイニの前にミルクの小皿を置き少年はリビングから出た。
ニイニは驚いたように黒猫を見る。黒猫は真っ白な尾を抱え小さくうずくまった。
「あ、ミルク飲んだら? お腹、すいてない?」
黒猫は返事をしない…。
「ごめんね…。人って毛の色、なんでこだわるんだろね。自分はこの色って決められないのに…。」
ニイニは一生懸命話すが黒猫はそっぽを向いたまま…。ニイニ、ちょっとため息。
「あ、ねえ!」
ニイニの急な大きい声に黒猫はビックリ!
「あなた、名前は?」
「野良だもん。名前なんて…。」
「そう…。」
しばらく考え込む黒猫、急にパッと明かりがついたように
「‥‥‥あ、あるよ、ある。ウォアだよ。ウォア!」
「ウォア?」
「うん。だいぶ前の事だったから…忘れてた。」
「変なの、名前忘れるなんて。」
笑うニイニにウォアは心配そうに、
「変な名前?」
「あ、ううん、そうじゃないの。名前は忘れちゃダメ。…でも、犬みたいね。」
「うん。友達がつけてくれた…。強く生きれるようにって。」
得意げな彼にニイニは微笑む。
「ふぅん、いい友達ね。今どこに?」
「わからない…。グレイはいつも旅をしてるから…。」
「“グレイ”って言うの? そのお友達…。」
「うん! すっごく強くて、すっごく優しいんだ!!」
だが突然顔が曇るウォア。
「どうしたの?」
「あ、僕…ココに居ていいのかな?」
ニイニはニッコリ。
「大丈夫よ。ココの人、みんな優しいのよ。…あ、ミルク飲みましょ!?」
「うん!」
しばらくして…
リビングに少年が戻ってきた。ソファーの上で寄り添い気持ちよさそうに眠っている2匹を見つけると、空の皿を持ちそのまま静かに外へ出た‥‥‥。
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