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バッと起き上がるウォア。リビングは真っ暗だった。その音に隣で寝ていたニイニが少し目を開く。
「どうしたの?」
「あ…。ちょっと昔のことを…。」
うつむいているウォアをニイニは覗きこんだ。
「大丈夫?」
「…ね、ニイニ。」
「ん?」
「僕さ…、ママに嫌われてたんだ。僕だけ体の色が違くて…。」
「子供を嫌いになるママなんていないわ。」
「ううん。だってママは僕を抱きしめてくれなかった…。他の兄弟は包んで…も‥‥‥。」
押し殺すように泣くウォアをニイニはそっと包み込み、ウォアの長い毛をなでた。
「いてっ!!」
「あ、ごめん。何かひっかかっ…。あら? 髪止めが巻いてある。トモちゃんたら、ウォアの毛があまりバサバサだから巻いてくれたのね。私のリボンもトモちゃんがやってくれたの。」
ニイニは大きな赤いリボンがついた両耳を嬉しそうに振る。
「野良の僕に?」
「うん! 皆が皆あなたを嫌いなわけじゃないわ! …あら?」
リビングにすっと光がさす。ニイニは立ち上がり、タタッと走り出す。
「ニイニ?」
「あ、開いてるわ。あなたがいつでも出れるように。」
「え!?」
ニイニは小さなすきまに体をつっこみサッシを思いきり開けた。真っ暗な部屋にまぶしい朝日がサァーッと入る。
「ウォア、雨やんでるよ。行く?」
「うん!!」
ウォアはサッシからとタタッと身軽に飛び下りた。
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