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今日は生徒会立候補者や委員会役員を決める日らしい。
図書委員・放送委員などが次々と決まっていく中、生徒会に立候補しようとする生徒は誰もいなかった。
それもそうだ。
僕だってわざわざそんな面倒臭い役員になりたいとは思わない。
まあ、僕はまだ転入してきたばっかりだし役員なんて任されないだろう
と、他人事のように机につっぷしながら話を聞いていた。
『もう…誰か立候補する人いないの?今日中に決めて職員会議に出さなきゃマズイのよ…いないなら推薦にするわよー?』
困り果てた先生がそう言うと、一人の生徒が手を高々と上げてこう言った。
『先生!僕は転入生を推薦します!!』
―!?
自分には絶対に振りかぶらないだろうと思っていたのに…
右斜め前の席の眼鏡男。
ずっと椅子ブランコをしながらニヤニヤしてこっちを見ていると思えば、こんなことを企んでいたのか。
せっかくみんなの興味も僕から逸れはじめていたのに、また視線が集まる。
助け舟をだされて、待ってました!と言わんばかりに笑顔でこっちを見ている先生…
『い、いや…そんな急に…』
『な~んも心配する必要ないのよ、碇くん!生徒会の仕事なんてたいしたことないんだからぁ!』
有無を言わさず話を進めようとする先生に促され、他の生徒達も“賛成ー!”とか言っちゃう始末。
断るに断れない雰囲気になってしまい、僕は仕方なく生徒会書記に立候補することになった…
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