第一章 曲がり者の集結

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…………………………………… 「優?もう朝礼終わったよ」 はっとして顔を上げると、咲が不思議そうにこちらを見ていた。 その、平穏な日常の風景にほっと力が抜けていくのを感じ、慌てて足に力を入れた。 そして、半ば緊張しながらも舞台の上に視線を送ると、もうそこには誰もいなかった。 優は咲と菜々と共に、足早に教室へと戻るために校庭に出た。 「この学校、去年まではおじいちゃん先生しかいなかったのにさ、今年は若い先生が意外と多いね。 滝沢ちゃんといい、さっきの原先生といい、どうしたんだろう」 何気なく菜々が言った言葉に、思わず身を強張らせる。 原 涼。 彼は何か違和感があった。それは、あの眼に他ならない。 「原先生さ、何かちょっと…怖い感じしない?」 無意識に出た言葉は、二人の注目を浴び、それから驚く事に賛同が得られた。 「ああ、カウンセラーだからじゃない?観察眼が凄いっていうか、何もかも見透かされる感じがするような、さ」 「うん、ちょっと冷たい感じがするけど、でもそれも格好良いよねぇ」 後者の言葉に少し違和感を感じる。 「……格好良い?」 「うん。何かミステリアスだし、白衣と眼鏡が似合う美形だし」   「菜々、もしかして…」 「良いよねぇ。白衣と眼鏡の組み合わせ!」 菜々は眼鏡フェチであり、白衣フェチであった。失念していた…。 そうか。確かに格好良いともとれる容貌をしていた。 しかし、優にはそんな生易しいものには思えなかった。 ただ感じたのは、他ならない恐怖だけ。 無機質であり空虚なあの眼は、彼女へは不安とおぞましさしか与えなかったのである。 思い出してしまい、ぶるりと身体を震わせた。 隣にいた咲が驚いて優を覗き込んだ。 「あれ、寒い?」 その声も優を安心させるのには足りなく、彼女は俄に血の気の引いた顔色で漸く答えた。 「……うん、少し風が」 季節遅れの桜は、風にのって ひらひら ひらひら つかの間の生命の栄華を 儚く散らす
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