第一章 曲がり者の集結

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「アルコールは適量なら良薬になるが、過度な摂取は命取りになるよ。 何でも、溺れてはいけない。覚えておいてくれ」 「……ありがとう。肝に命じておくよ」 そう応えながらも、滝沢はデジャウ゛を感じていた。 こういうやり取りは覚えがある。 彼は今、滝沢にカウンセリングを施したのだ。 以前に彼が滝沢にしたように。 ふと、原は話題の矛先を変えた。 「その子の名前は、佐野なんていうんだい?」 「優だよ。佐野優」 「……そう」 滝沢は見逃してしまった。 その名前を聞いた瞬間、彼がひどく悲し気に目を細めた事を。 滝沢は聞き逃さしてしまった。 彼が小さく小さく、 「……美咲……」 そう呟いた事に。 こうして、曲がり者は集う。 運命の糸に導かれるように。 そうして始まるのだ。 灰色に染まる、暗鬱な夢が。  
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