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その手際の良さに滝沢は感服し、もしかしたら、恐ろしく手の掛からないラッキーな部活の顧問になれたのではないかと、一人喜んでいた。
そして中間考査の結果発表で、滝沢はあの言葉の意味を理解する事になる。
中間考査 成績発表
1位 青木純
2位 佐野優
3位 岡原咲
4位 板倉菜々
5位 尾形彰
トップ5。
彼らは間違いなく、エリート校の中のエリートであった。
その発表用紙を少し離れた所から眺めていた原は、面白そうに呟いた。
「へぇ。佐野さんは頭も良いのか。
そんなところもそっくりだな……」
発表用紙の間近で結果を見ている優をそっと眺めてから、原は静かにその場を後にした。
しかし、この時は誰も知らなかった。
被害者も傍観者も復讐者も追求者も敗北者も勝者も、そして加害者も。
皆が皆、知りもしなかった。
これが灰色の夢への幕開けだった事に。
誰も知らなかった。
これらは必然であり、そして世界は思ったよりもずっとずっと狭く、皮肉である事を。
そしてこの学園には恐ろしい呪いがあるのだという事を。
まだ、誰も知らない。
幕は上がったばかりなのだから。
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