第二章 探偵部

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その手際の良さに滝沢は感服し、もしかしたら、恐ろしく手の掛からないラッキーな部活の顧問になれたのではないかと、一人喜んでいた。 そして中間考査の結果発表で、滝沢はあの言葉の意味を理解する事になる。 中間考査 成績発表 1位 青木純 2位 佐野優 3位 岡原咲 4位 板倉菜々 5位 尾形彰 トップ5。 彼らは間違いなく、エリート校の中のエリートであった。 その発表用紙を少し離れた所から眺めていた原は、面白そうに呟いた。 「へぇ。佐野さんは頭も良いのか。 そんなところもそっくりだな……」 発表用紙の間近で結果を見ている優をそっと眺めてから、原は静かにその場を後にした。 しかし、この時は誰も知らなかった。 被害者も傍観者も復讐者も追求者も敗北者も勝者も、そして加害者も。 皆が皆、知りもしなかった。 これが灰色の夢への幕開けだった事に。 誰も知らなかった。 これらは必然であり、そして世界は思ったよりもずっとずっと狭く、皮肉である事を。 そしてこの学園には恐ろしい呪いがあるのだという事を。 まだ、誰も知らない。 幕は上がったばかりなのだから。
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