序章

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初めて体を重ねたのはいつの事だっただろうか。 普段の粗暴な態度や横柄な口振りとは不似合いな、らしくないほどの優しい手。 触れられる度に体の奥から逆巻く渦に逆らう事が出来なくて、嫌と訴えながらもひどく緩慢になる抗い。 初めは体が壊れそうな激しさに終始した情交も、いつしか自分の内へ彼の体温が染み込むようなものへと変わり、自分の肉体もさして抵抗もなく彼を受け入れるようになって つながっているのは心だけでも身体だけでもないと思えるこの時間を慈しみ身をまかせるようになってから。
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