月影

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  心臓がおかしくなるのではないのか、と思ってしまうほどドキドキという音がバクバクにかわってしまった。 もう怖すぎてどうにかなってしまいそうだ。 そんな時、急に視界に影が入ってきた。 私は驚き、おもいっきり自転車を漕ぎだした。 「もうやめて!怖い、怖いから…!」 なんて叫びながら、影が消えるまで走り続けた。 だが、その影は一向に消えない。 私は不思議に思い、恐る恐る影を見た。 どうやら、その影は自分のものであるらしい。 なぁんだ。良かった。 ほっとため息を零した。 同時に、自分の影に驚いたなんて、バカだなと苦笑いも。 「あれ?なんで影が?」 さっきまで影すらなかった暗さなのに、影があるなんて可笑しいではないか。 それにさっきよりも辺りが明るく見える。 ついに自分の目はおかしくなってしまったのかと思い、目をこすっては辺りを見渡した。 「なぁんだぁ、月か!」 ぽつんと、闇の空に丸い黄色の月が顔を出していた。 どうやら雲に隠れてしまっていたため、今ごろになって出てきたもよう。 私は安緒の笑みを浮かべた。
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