第一章

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俺はどこにでもいるような高校生、柿崎遼(かきざきりょう)。 勉強も運動も平々凡々。 “普通"という言葉がピッタリな高校二年生だ。 だけど、俺の友達に、“普通"じゃない奴がいる。 そいつは、今サッカーボールを蹴りながら校庭を矢のように走っている。 今は体育の授業中。 柿崎(あいつが入ると、試合にならなくなるよな。) 心中呟いた言葉の意味。 それは、言葉通りの意味。 ボールがあいつに渡って、得点が入らなかったことは無い。 現に今も、相手チームが総動員であいつを止めようと、一生懸命ディフェンスをしているが、それは骨折り損のくたびれ儲け。 バシィィィン! 校庭に、ボールを蹴る音が響き渡る。 パサァァッ それと同時に、ボールがゴールのネットに触れる音がする。 柿崎(あーあ、これで24点目。) 最早見慣れた光景。 だが、ため息が出るのをやめれない。 柿崎「ちっとは手加減という言葉を実行したらどうだ?」 こいつは、俺がこう聞くと、必ず 「無理に決まってるだろ。第一、そんなの相手に失礼だ。」 と、言い返す。 こんだけ相手の精神追い込んどいて、よくそんな綺麗な事言えるよな。
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