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霞「あ・・・う・・・」
起きた出来事に頭が追い付かず、考えようとしても何も考えられない。
唯一、ここから出来るだけ早く逃げろ、アイツから遠く離れろ、ということだけは脳じゃなくて体が訴えている。
だが、恐怖心から足に力が入らず、逃げるどころか立っているのでもやっとの状態である。
「グルルルゥゥゥゥ・・・!」
そんな霞の状態に構わず、距離を縮めようと、ノシノシと歩いてくる。
霞「い・・・いやぁ・・・」
一歩一歩近付いてくる得体のしれないゴリラの化け物。
その、“死"を感じるような恐怖に、遂に涙を流す。
そして、遂に
「グルルルゥゥラァァァァ!!!」
歩くではなく、信じられないような跳躍力で飛んできた。
霞「いやぁぁぁぁあああ!!!!」
極度の恐怖心から、腹の底からの叫び声をあげる。
そして、来るであろう激痛に、目を閉じてしまう。
そして、肉が引き裂かれ、真っ赤な鮮血が飛び散る―――――――
いや、飛び散らなかった。
霞「・・・?」
不思議に思い目を開けると、自分の回りに、かすかに光る壁があった。
この壁が、ゴリラの化け物の激突を遮ってくれたのだ。
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