試験、前日

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私の専攻は声楽。 睡眠時間や、寝る時間 練習しすぎてはだめ、 喉冷やしてはだめ、 風邪ひくなんて問題外 二回目の実技試験に備えて、自己管理を徹底しなければならなかった。 私は試験一か月前になると、とにかく禁欲生活になる。 どんな場合でも、何があっても、 絶対禁酒、禁カラオケ。 声楽、クラッシックと、カラオケのポップスとは発声が全く違う。 カラオケで歌うと、クラッシック発声が多少なりとも崩れてしまう。 あと、マフラーは欠かせない。 私の風邪は、喉からくる。 外にでるときはもちろん、寝る時も首に何か巻かないと、寝られない。 試験一週間前になると、喉の保湿のためにマスクをして寝る。 寝てる間に吸うホコリや、乾燥は侮れない。 そんなこんなで、明日が、ついに声楽の試験。 狙ったんだろうか、 タカがうちにやってきた。 今の私だったらありえないけど、 当時の優柔不断な私は、そんな時に、 うっかりタカを家にあげてしまったのだ。 『おみやげかってきたよ~』 ジュースやらおかしやら。 コンビニで色々買い込んできた。 おかしやらを少しつまんで、 やっぱり、というか そういう雰囲気になった。 もちろん、そういう行為も、喉に悪い。 体は冷えるし、 睡眠時間減るし、 とにかくマイナス要素満載だ。 それが終わったあと、時計をみる 2時、 明日、試験は10時。 声帯は、起きて2時間たたないと使えない。 体だるい、 一月だから寒い、 眠い。 でも、起きなくては。 『早起きだね』 『うん…』 タカは、朝が弱い。 私は、朝早い。 『何時にでるの?』 寝ぼけたまま、タカが聞く。 『…8時』 『はやっ』 いや、私も寝たいし。 でも、これだけは譲れない。 タカを帰し、私も家をでた。 試験は、 歌詞は飛ばなかったけど、 成果を出し切れなかった、と思う。 タカのせいじゃない。 自分の弱さが、この結果。 優柔不断で、頑固で、負けず嫌いな私。 次こそ。
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