アン☆ハッピーバレンタイン

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ボタボタッと、直也の足元にその箱が転がり落ちた。 朝8時30分。 いつも通りに登校してきた彼だったが、今日はどこか浮かない顔をしていた。 その原因が、コレ。足元に広がるバレンタインチョコレート達である。 はぁ、と軽くため息をついた後、仕方なくソレを拾いあげる。 下駄箱に放置しようと思ったが、どうやらそうはいかないらしい。 上履きが箱に埋もれて取り出せない。 眉間に皺を寄せたまま、上履きを取りだそうと鞄に箱を詰めた。 「直也くーん? ご機嫌いかがかなー?」 「最悪だ」 教室までの道のり、いつもより早く聞こえた嫌な声に振り返りもせず顔をしかめる。 その相手はフンフンと鼻歌混じりで直也の後ろを歩く。 途中、誰かに声をかけられたような気がしたが、ソイツを小突いていたため返事はしなかった。 何もかもがめんどくさい。 今日、この日と言うものが。
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