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ボタボタッと、直也の足元にその箱が転がり落ちた。
朝8時30分。
いつも通りに登校してきた彼だったが、今日はどこか浮かない顔をしていた。
その原因が、コレ。足元に広がるバレンタインチョコレート達である。
はぁ、と軽くため息をついた後、仕方なくソレを拾いあげる。
下駄箱に放置しようと思ったが、どうやらそうはいかないらしい。
上履きが箱に埋もれて取り出せない。
眉間に皺を寄せたまま、上履きを取りだそうと鞄に箱を詰めた。
「直也くーん? ご機嫌いかがかなー?」
「最悪だ」
教室までの道のり、いつもより早く聞こえた嫌な声に振り返りもせず顔をしかめる。
その相手はフンフンと鼻歌混じりで直也の後ろを歩く。
途中、誰かに声をかけられたような気がしたが、ソイツを小突いていたため返事はしなかった。
何もかもがめんどくさい。
今日、この日と言うものが。
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