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相変わらず女子の声が絶える事はなかった。
規定の時刻になるとチャイムが鳴った。
しかしソレが鳴ったからといってい誰も自分の席に戻ろうとはせず、結局担任が教室に入ってくるまで騒がしいままだった。
4限目。
隣のクラスと同じ物理の時間。
今日始めて会うその人に、二人はソワソワしていた。
「あっきらー!」
「ぐけふっ……抱きつくなあっち逝け!!!!!」
いつも通りを装い、創がその人に飛び付く。心なしか、いつもより勢いがよかったのに直也は気がついた。
「ふっ……まぁいい許してやろう。今日のアタシは機嫌がいい!!」
創を足蹴しながら秋良は満面の笑みを浮かべた。
その手には、なんとチョコレートが。
「何? お前みたいな奴でもチョコあげるのか?」
「失礼な!」
一瞬かなり焦った直也だったが、すぐにいつもの調子を取り戻し嫌味を述べる。
すると案の定、秋良はキツイ睨みを利かせてきた。
しかしその睨みですらあまり効果はなく、直也の気持は彼女の手に握られたチョコレートに集中している。
一体、誰にあげるのか――――
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