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「あげる相手なんて決まってる……」
少し苦しそうな、憂えた表情をする秋良。
気になる。
すごく気になる。
「え、秋良誰かにあげるの……?」
「もちろん!」
まさか彼女が誰かにチョコレートを贈るなんて、思いもしなかった二人はその場で固まった。
創が誰にあげるのか、口を開きかけた瞬間、物理の教師が教室に入ってきた。
「ほら、授業始めっぞー」
その声にハッと我に返る。気付けば、秋良はすでに自分の席に着いていた。
授業が全く身に入らない。
いや、いつもの事だが今日は特にそうだった。
あの綺麗にラッピングされた箱は、誰の手に渡るのか――
秋良の足元を見れば、鞄からはみ出たソレが見える。
更にその先に視線をやれば、創もまた秋良の鞄を凝視していた。
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