アン☆ハッピーバレンタイン

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授業の終わりをチャイムが告げた。 号令が終わるなり、創が飛び出し秋良に飛び付こうとしている。 恐らく、あの箱の行方を聞こうとしているのだろう。 しかし直也は焦りはしなかった。 50分、授業丸々一時間かけて辿り着いた答えは“桐生宛の友チョコ”だ。 決して焦ってはいけない、ここで焦ってしまっては自分の気持ちがバレてしまう、と一生懸命焦る気持ちを抑え席を立つ。 「秋良、その「おーい山岸」 創が真相に迫ろうとした直前、先生が彼の名を呼んだ。 「なんですかこんな時にぃ!」 「お前先週の課題未提出だろ」 「…………あ」 先週の課題、というものは物理のプリント3枚で、かなり時間のかかる物だった。 それをやっていなかったという事か…… 不本意だが、直也は少し気持ちが軽くなった気がした。 「どーせソレ、桐生にだろ?」 「ご名答!」 やっぱり、とため息をついた。 まさか自分が貰えるなんて期待は最初からしていない。 秋良はそういう人だ。 「やっぱりどんなチョコよりも、好きな人からもらったチョコは格別だね」 ニコニコ笑いながら鞄の中を漁る秋良は、どこか嬉しげにそう言った。 「お前、そんなにどうしたんだよ……」 「んー? 下駄箱ん中に入ってた」 ああそうか、とまたため息をついた。 秋良もまた、女であるにも関わらずモテた。
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