3 無口 VS 傲慢 前編

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3 無口 VS 傲慢 前編

「―――」 此処はとある部屋。其処に、一人の人間が座りながら寝ていた。 年はかなり若く見受けられる。20台の中頃辺りだろう。胡座(あぐら)をかいて、手をぶらんと横に落として、本当に完全に寝ていた。 しかし、到底寝られる状況ではなかった。何故なら、その周りには何十という人間が取り囲んでいたからだ。彼らは武器を構え、その矛先を寝ている人に向けている。 寝ているのは男か女か。しかし、どちらにせよ命は危ういだろう。何故なら、人々は殺す気で此所にいて、寝ている者は、武器を手にしていない。 「―――」 カクンと頭が落ち、それを合図に人々は襲いかかる。まさに流れ込む大量の水。弾幕ともとれる大量の一撃。 その声が反響し合って、一人一人がなんと言っているかは、全く聞き取れなかった。何十という人間よる、数の暴力。武器を持たない者が、しかも寝て勝てるものじゃあない。 しかし。 「―――」 次の寝息にも、周りは変わらず人と武器が囲む。ただし――― 生きている者など、一人もいなかった。
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