3 無口 VS 傲慢 前編

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そもそもの理由は、各国の“アルマ・セブンの保有”に問題があるのだ。 リーズとギルバートが向かったRJCは、六大国家の中でも珍しい“国がアルマ・セブンを保有する”国なのである。 六大国家―――EU、RJC、アジスタン、カナダ合衆国、アヌビス連合国、アイランド共和国、の六つ。その中で、国家そのものが武器を保有するのは、我らがEUとRJCだけなのである。デビル・リミットの火種となった嫉剣が、小さな部族の物であったように、国ではなく、一族や名家、個人が保有するものの方が多い。EUでさえ、最近まで欲刀を所持しておらず、ある人物の手にあったのである。 つまり、RJCに最初に派遣されたのは必然であり、その他は“国さえもそれを回収できない”というのが現状なのである。 中でも、此処“アジスタン”は特殊な環境にあり、例外的に“回収しやすい”条件なのである。それに対して、先ず会うべき人物がいる。なので顔色が悪いのだ。 あ、因みに……デビル・リミット以前は、七大国家と呼ばれていた。南アメリカを領地とする、七大国家唯一の「王国」を含めて―――。 「待ち合わせ、何処、だっけ?」 入国手続きを済ませて、旅行鞄に入っている荷物を引きながら、ラミールは呟いた。恐らく、自分にも聞こえない声だったのだろうが、俺には聞こえてしまう。 「えっと。確か……13:20にロビーで、だ」 いや、多分だけど、それ利用して最低限のエネルギーで話しかけたのだろう。 「極秘裏じゃないから、多分SP付けてるんだろうなー」 「多分、じゃ、ない。絶対」 そりゃそうだ、相槌が反射的に口から出てしまった。しかし、ラミールも納得のようである。 空港の視線は、絶えずコチラに向いている。目立つのはあまり気持ちが良いものではないが、そのことで服装を変えるなど、ナンセンスだ。俺としては、ファッションなんかに時間を割く意図が分からない。 「んっと、ロビーってドッチだ?」 キョロキョロと周りを見渡して、地図を探す。しあkし、その努力も空しく、それらしいものは発見できなかった。 「アッチ」 と、意表をついてラミールが喋った。恐る恐る隣を見ると、何本かのルートの内、一本を人差指で指していた。 「……探知(サーチ)、か」 コクンと頷くラミール。 便利だよなーそういうのってさ。
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