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その女はまるで、自分のことが見えている人を探すかのように一人一人イスに座っている乗客の顔をのぞき込んでいた。
『じーっ』
と…
一人目…
そして二人目…
どんどん私のところに近づいてくる。
私は見えないフリをしようと思い、まっすぐに前を向いて一点を見つめていた。
とうとう私のところに来た女は私の目を
『じーっ』
と見つめてくる。
私は心の中で
『早くどっかにいけ…お願い…』
とつぶやいていた。
女は諦めたのか私の顔から離れ、私の横の空いたスペースに行こうとした。
私はつい癖で通りやすいように体を避けてしまった。
『ヤバい…』
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