末永 巧

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俺の母親は俺が一才の時、事故で死んだ。 俺をかばって車にひかれたんだって親父が俺に言った。 親父は俺より母親に生きていて欲しかったに違いない。 口には出さないが態度で分かる。 俺だってバカじゃない。 いつからか俺は親父に遠慮しながら生きていた。 ワガママなんて言ったことない。 親父も金だけ置いて外に出ることが多かった。 俺はひとりっ子だ。 だから俺はいつもひとりだった。 食事も寝るときも。 泣くときも。
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