末永 巧

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小学校に上がると友達が増えた。 友達ん家でご飯食べさせてもらったりした。 でもそのたびに俺は友達が羨ましかった。 温かい手料理。 優しい母親。 見守る父親。 ケンカばかりの兄弟。 俺の持ってない幸せを当然の様に持っていた。 俺の孤独感は肥大していった。 俺は中学に上がると不良グループと仲良くなった。 不良の友達には俺と同じような孤独なヤツが多かった。 家に帰らない日も多くなった。 しかし心配して殴ってくれる親は俺にはいなかった。 相変わらず親父は俺に無関心だった。 だから少しでも寂しさを誤魔化したかった。 でもある日気付いた。 それは仲間だった陽平が受験勉強のためにグループを抜けたいと言った時だった。 グループを抜ける落とし前としてリンチがあった。 お前も殴れと陽平と仲のよかった彰が言った。 仲間と言っているが、下のものにはリンチやパシリなんて当然だった。 違和感をずっと感じていたがようやく分かった。 俺は奴らといてもずっと孤独だったことに。 こんな奴らを仲間なんて言えるかっ! そう言って俺も陽平とボコボコにされた。 ボコボコの陽平は俺もバカだけどお前もバカだなってボコボコの俺を笑った。 それから俺と陽平はずっと親友だ。 一緒に勉強し同じ高校に進むことになった。 そして中学の卒業式の日。 久しぶりに親父と話をした。
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