末永 巧

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中学卒業式の日の朝。 親父が話があると言ってきた。 正直俺はついに家を追い出されると思ったよ。 だけど違った。 再婚するんだって。 親父はうまくやってくれよとだけ言って家を出た。 俺は母さんの遺影を見ながら自分は親父にとって本当にいらない存在になったってことを自覚した。 でも不思議と悲しくは無かった。 その後の卒業式も悲しくは無かった。ただこの束縛された生活から抜け出せる喜びだけだった。 そして高校の入学式を迎える前日。 初めて親父の再婚相手に会うことになった。 相手には俺と同い年の子供がいることも聞いていた。 そして約束の時間になり、家の近くのレストランに親父と出向いた。 会った瞬間、動揺を隠せなかった。 再婚相手だと紹介された女はこの前まで同級生だった桐生愛季子の母親だった。 そして愛季子もその場にいた。
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