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「茉莉も行くのか? 別にいいけど…帽子かぶって来いよ? …耳が見えるからな…」
「は~い!」
茉莉は元気よく返事をし、二階に駆け上がった。
何故、銀臥が茉莉に帽子をかぶって来いと言ったかというと、茉莉の頭には立派な犬耳が生えているからである。
銀臥達は人間だが、茉莉は獣人…獣人は間違った風評から人間に差別、迫害を受けており、トラブルになる事が多々あるので何かで耳を隠す必要があるのだ。
(茉莉も…あの頃から成長したな…昔は帽子かぶらずに外に出ようとしていたからな…)
と、銀臥がまるで親みたいに感慨に耽っていると、茉莉が戻って来た。
「お待たせ! 早く行こ?」
「あぁ…」
「あんまり学園長に迷惑かけるなよ?」
「行ってらっしゃい。」
「分かってるよ…行って来ます…」
「行って来ま~す!」
二人は家を出て、学園に向かった。
「…大丈夫かしら…」
「まあ銀臥がいるから大丈夫だろ!」
「そうね…」
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「……茉莉…学園では上手くやってるか?」
「え? ……うん…大丈夫…だよ…?」
茉莉は急に元気がなくなったように、俯きながら返事をした。
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